キバリオンとは
『キバリオン』とは、錬金術・ヘルメス主義の始祖、ヘルメス・トリスメギストスによって何千年も前に定式化された7つの原理(7つの法則)について、匿名の3人によって1908年に出版された本です。
この7つの原理が、宇宙の仕組みを理解するための「宇宙の法則」といって間違いないと私は思っています。
ちなみに、3人の著者のなかにウィリアム・アトキンソンがいるとされていますが、もしそれが本当なら、『キバリオン』はウィリアム・アトキンソンの作品のなかで抜きん出て素晴らしいものです。
ウィリアム・アトキンソンのほかの作品(本)は、当時流行のニューソートの思想が表現され、願望実現の性格が濃いものですが、『キバリオン』は願望実現をはるかに超え、人類の叡智の表現となっています。
そのため、『キバリオン』はほかの2人の著者の影響が非常に強いのでは、と私は見ています。
それはともかく、『キバリオン』を正しく理解することは、スピリチュアルな覚醒の第一歩となります。
ぜひ、ご自分で『キバリオン』またはKybalionをお読みいただきたいと思っています。
7つの原理とは以下のとおりです。
第1の原理:メンタリズムの原理 The Principal of Mentalism
第2の原理:照応の原理 The Principal of Correspondence
第3の原理:波動の原理 The Principal of Vibration
第4の原理:両極性の原理 The Principal of Polarity
第5の原理:リズムの原理 The Principal of Rhythm
第6の原理:原因と結果の原理 The Principal of Cause and Effect
第7の原理:ジェンダーの原理 The Principal of Gender
この記事では、7つの原理について、私の視点から説明をしてみましょう。
第1の原理「メンタリズムの原理」
THE ALL IS MIND; The Universe is mental.
「すべて」は心である。宇宙は心の性質を持つ。
— Kybalion
この一文に、キバリオンの本質が表現されています。
そして、その意味を理解するのは、難しいかもしれません。
この一文の意味を完全に理解できたら、覚醒はもう始まっています。
「思考の法則」は間違った理解
このキバリオンの第一の原理を「思考の法則」として、「思考したことが実現する」「私たちの世界は私たちの思考の結果である」と書いている記事を見かけますが、それは正しい理解ではありません。
それはいわゆる願望実現の理解であり、キバリオンが言っていることではありません。
思ったことが実現する。
誰でも知っているわかりやすい話です。
しかし、キバリオンは覚醒の書だと私は言うのですから、そんな話のはずはないのです。
第1の原理「メンタリズムの原理」が、キバリオンの7つの原理のすべてといっても過言ではありません。
ほかの6つの原理は、第1の原理から派生したものなのです。
第1の原理「メンタリズムの原理」を正しく理解するには、
THE ALL IS MIND; The Universe is mental.
を2段階にわけて解説するのがいいと思います。
「すべて」は本質的リアリティのこと
THE ALL IS MIND.
「すべて」は心である。
これはどういうことでしょうか。
「すべて」とは万物のことでしょうか。
モノのことでしょうか。
宇宙のことでしょうか。
「すべて」を日本語で考えると、「すべて」というのですから、すべてのモノ、万物、そんな意味での宇宙と思ってしまいがちです。
実はそうではないのです。
前の記事で書いたように
英語版でKybalionを読むのをお勧めしたのも
こんな日本語にまつわる誤解を避けるためです。
では、「すべて」「THE ALL」とはなんでしょうか。
英語で文字が大文字となっているのは特別な意味を表している証拠です。
「すべて」「THE ALL」とは、
物質世界の背後に横たわっている実質的なリアリティ
のことだとキバリオンでは言います。
一瞬「?」となる方もいるでしょう。
「物質世界が現実じゃないの?」
と思う方も多いでしょう。
しかし、スピリチュアルの伝統では、
物質世界はそれだけでは存在できない。
物質世界を支える別のエネルギーがあるから存在するのだ。
と考えます。
人の肉体には寿命があります。
生まれては死に、死んでは生まれる繰り返し。
モノもそう。
できては壊れ、壊れてはできるの繰り返し。
こういうことが繰り返されるということは、物質だけがあるというよりは
物質とは違う、「もっと本質的なもの」があって、それが
物質を生んでいるのではと古来から人は考えました。
ピノキオを思い出してください。
ピノキオはただの操り人形ですが
それに魂が吹き込まれると
考えたり、動いたりできる。
でも魂が抜けるとピノキオはただのモノ。
そしていつかはモノは壊れてしまう。
だけど、魂は存在している。
この例での魂が「すべて」に近いです。
ピノキオの背後には魂がある。
万物、すべてのモノの背後には「すべて」「THE ALL」がある。
「すべて」「THE ALL」が存在の本質。
「本質」とは「変わらないもの」「大事なもの」という意味です。
「すべて」「THE ALL」が本質で、「すべて」「THE ALL」から万物、すべてのモノ、つまり現象が生まれてくる。
「すべて」「THE ALL」をこのように理解できると、正しく把握できています。
なぜ「すべて」は心なのか
「すべて」「THE ALL」は、物質の背後にある本質的なリアリティのことです。
ということは、「すべて」「THE ALL」はモノではないはずです。
なぜなら、「すべて」「THE ALL」からモノが生まれ、物質として現象するのですから、「すべて」「THE ALL」はモノではない何かのはずです。
「モノではない何か」…それを「非物質」と言ったりします。
だから「非物質」と呼んでいいのですが、他の言い方では
「マインド」「心」「意識」「生命」「宇宙意識」「ソース」「クウォンタム・フィールド」などとさまざまな呼び方がありますが、キバリオンでは「マインド」「心」と表現しています。
つまり、
物質の背後にある本質的なリアリティである
「すべて」「THE ALL」は、「マインド」「心」である
と理解できるでしょう。
これで「すべては心」の意味が正しく理解できました。
マインドや心という言葉がありますが、それは普通の意味での
私たちの思考や心のことを言っているではありません。
宇宙意識とかソースとかワンネスとか
そういう無限の存在の心であり、マインドのことです。
私たち個人が思考する、といった話ではないのです。
ここは誤解しやすいので、ご注意ください。
ここまでご理解いただけたと思います。
「宇宙は心」とはどういうことか?
では、後半の
The Universe is mental.
「宇宙は心の性質を持つ」
に移りましょう。
宇宙は万物の集合です。
その意味ですべてです。
しかし、それは結局はモノです。
モノなのであくまで、「すべて」「THE ALL」から生じたはずです。
「すべて」「THE ALL」が宇宙をクリエイトしたのです。
ではどうやって「すべて」「THE ALL」は宇宙をクリエイト(創造)したかの話が展開します。
これが実におもしろい。
「すべて」「THE ALL」はモノではないので、足したり引いたりができません。
ですから「「すべて」「THE ALL」が宇宙を創造した」といっても
素材を使って何かをしたのではないはずです。
考えられるのは、
「すべて」「THE ALL」が宇宙をメンタルに創造した
という方法です。
「メンタルに」というのは「心を使って」ということですが、それは言ってみれば
イメージしたり夢を見たりするやり方だと、キバリオンは言います。
今わたしたちが経験している万物、宇宙は、「すべて」の夢のようなもの、イメージのようなもの。
『キバリオン』はそう言うのです。
宇宙はイメージや夢のようなもの
今、私たちは「それが実際にある」と思って世界を体験しています。
目の前にあるモノはあくまで「ある」のです。
ところがその世界は、実は「すべて」という偉大な存在の夢のようなもの、イメージのようなものだと、『キバリオン』は言うのです。
もちろん、私たちも偉大な存在の一時の夢、イメージにすぎません。
これが、「宇宙は心の性質を持つ」ということの意味です。
「宇宙はすべての夢、イメージである」というのです。
スピリチュアルでは、「出来事はスクリーンに映った映画のコマのようなもの」という捉え方がありますが、それと似ています。
世界で起こっている出来事は、偉大な存在がイメージしたことであり、夢である。
そうだな、と同意できますか?
それとも、突拍子もないことに思えますか?
「宇宙は偉大な存在の夢であり、イメージである」という認識は
近年多くの人に共有されています。
「現実は幻」
「現実はバーチャルリアリティ」
「現実はホログラム」
といった言葉は、キバリオンの認識に沿うものです。
第1の原理「メンタリズムの原理」の意味は以上のようなことです。
決して、「思ったことが実現する」といった通俗的なことではありません。
【出来事やモノやは幻であり、イメージであり、夢である】
それが、キバリオンの第1の原理「メンタリズムの原理」です。
「メンタリズムの原理」が腹に落ちたとき、
あなたは覚醒のドアを開けたことになるでしょう。
どうぞ「出来事やモノは夢でありイメージなんだ」と
あなたのハートに尋ねて瞑想してみてください。
覚醒の道は、今始まりました。
引き続き、7つの原理を検討していきましょう。
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